認知症
Medical
認知症
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認知症とは一度正常に発達した知的機能が持続的に低下し、複数の認知障害があるために社会生活に支障をきたす状態です。その診断基準は意識障害のない状態で日常生活に支障をきたす記憶障害、判断力、思考力、一般処理情報能力の障害、情動、意欲、社会行動の障害などを認め、これらの状態が6か月以上持続する場合と定義されます。認知症は日本では現在超高齢化社会を反映して増加傾向であり、2010年時点で推定有病者数は439万人、軽度認知障害(MCI)は380万人といわれています。認知症患者は65歳以上から増加するといわれており有病率は65歳以上の人口の15%に上ります。今後2025年に認知症の有病者数は700万人にも達すると推計されています。当院でも総合診療医が対応しなければならない疾患として診療に当たっています。
認知症は本人に病気の自覚がないことが多く、家族の訴えから病気が疑われることがしばしばです。最近何度も同じことを繰り返して聞くようになった、よく物を失くしたり置き場所を間違えたり、物を隠したり貯めこんだりする。日常的な物事に関心を示さなくなる。特に理由もなく夜中に起き出す。逆に昼間は寝てばかりいる。最近急に怒りっぽくなった。或いはふいに外へ出て行ってしまう、また家に戻れなくなってしまう。落ち着きがなく興奮したり、イライラする、急に泣き出したり笑ったりするなど、以前とはちょっと様子がおかしいと感じるようであれば、一度家族の方だけでもご相談してください。
認知症の中には治療可能な内科的疾患、低血糖、ビタミンB群欠乏症などの代謝性疾患や甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症などの内分泌系疾患、また薬剤誘発性、感染症、アルコール性などによるもの、また外科的疾患では慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍などによるものがあります。これらの疾患を血液検査や頭部画像診断で除外診断しながら、簡易認知機能検査(長谷川式簡易評価スケール)を用いた質問紙法で認知機能評価を行ってまいります。なお画像診断については認知症の代表的な疾患であるアルツハイマー型認知症や血管性認知症の鑑別や診断に有用な頭部MRIやVSRADといった検査を平塚市民病院や伊勢原協同病院などに依頼しています。対応可能な症状に対しては、環境調整や薬物治療を行い、また専門医の診断、治療が必要なレビー小体型認知症や前頭葉側頭葉変性症など、さらに対応困難症例においては精神科外来対応も含めた連携医療機関に紹介しております。
また認知症患者さんの生活を支えるためには関係職種との連携が不可欠です。当院は往診診療を開院当初から行っており、連携機関とのネットワークがあります。認知症患者さんは介護保険の利用が必要となることが多く、介護保険申請に必要な主治医意見書も積極的に対応しています。また平塚市あさひ地区のよろず相談所(地域包括支援センター)のサポート医も行っておりますのでお気軽にご相談ください。